〇月曜日
午前中、慌ただしく仕事を片付けて病院へ。
朝起きて、胸に変な痛みがあることが続き、色々調べてもらった。
睡眠時無呼吸症候群を疑われて検査したら、軽度の症状があると結果が出た。
しかし内科的に問題がないと言われ、「慢性鼻炎みたいのが影響するの?」と聞いたら、耳鼻科に送ってくれた。
耳鼻科で、空気の吸いやすさをテストされ、左の穴が極端に吸いにくいという結果が出た。
カメラで鼻の穴を調べると、左は穴が閉塞気味であった。
気付かなかったけど、言われてみると左は空気が吸いにくい気がする。
鼻の穴は2つあるが、同時に2つの穴で吸っているわけでなく、2時間ごとに交互に1つの穴を使っているそうだ。
左穴が担当した時に、閉塞して無呼吸を起こしている可能性が高かった。
左穴の狭い部分の、壁を削る内視鏡手術を勧められた。
入院手続きの書類や手術の同意書などたくさん書いて、手術の説明を受けるが、恐ろしくなる一方だった。
不安で全然寝れなかった。
〇火曜日
朝から点滴が始まり、絶食。
注射は超キライ。
小学生の頃、予防接種で「注射 気持ちいいー」と強がっている子がいたが、好きな人はいないだろう。
午後からの手術で、午前中は死刑を待つ死刑囚のような感じで ボーと過ごす。
自分で望んだ手術なのに。
午後になると、フンドシを付けたり着替えたり、慌ただしくなる。
「T字帯」などと呼ばれていたが、人生初フンドシで、付け方を教えてもらう。
時間になると、病室の前からストレッチャーに乗せられて手術室へ。
自分で歩けるのに、天井を見ながらストレッチャーに乗せられていると、本当に重症患者になってしまった気分になる。
フジヤマに乗ってスタートした気分、もう止められない。
手術室に入って、たくさんの人に囲まれてキョロキョロしながら恐怖で硬直していると、「麻酔かかるよ」と言われ・・・
・・・意識を失う・・・
2時間半後、起こされて目を覚ますと、術後観察室で寝かされていた。
バランスをとるために両鼻手術したようで、穴の奥に特殊な綿を入れられて、完全に鼻は閉鎖されている。
口で呼吸するしかない。
血管の多い壁を切ったので、血が2週間ほど止まらないらしい。
鼻の穴に綿球を入れるが、すぐに真っ赤になり垂れてくる。
血がタンのようにノドにも絡むから、とにかく呼吸が苦しい。
チ〇コに違和感。
けっこう太めの管が入っている。
痛々しいので、そこは直視できなかった。
しばらくすると、「変なかんじするよ」と言われて抜いてもらえた。
ズッキューンって感じがした後、ゾワゾワっときた。
自力で小便すると、ちょっと血が出て、しばらく小便時の痛みに恐怖することになる。
しばらく休んでトイレに行こうと起き上がったら、急に信じられない量の汗が出て、動けなくなる。
全身麻酔の副作用で、体温調節機能が狂っていたらしい。
そんなことが一晩続き、苦しい夜を過ごした。
〇水曜日
昨晩のような苦しさはなくなったが、呼吸の苦しさと発熱。
インフルエンザの時のようなダルさ。
1日ぶりの朝食が出て、おかゆを飲み込もうとすると、うまくいかない。
鼻が完全閉鎖されていて、飲み込む時の、空気の抜け道がなくなったのが原因だ。
気付かなかったけど、鼻は通気管の役割も果たしていたのだ。
コップ1杯のお茶を飲むのに、10分かかる。
うがいも、うまくできない。
元の病室に戻る。
カミさんに「ヒジキ」を持ってきてもらう。
血が足りない。
〇木曜日
微熱と出血が続く。
カゼの時のようなダルさ。
呼吸が苦しくて眠れない。
同室のオジイさんは、朝3時からガサガサ始める。
〇金曜日
朝3時からラジオが流れていて、ドリカムの「決戦は金曜日」を聞かされる。
あ~もう金曜日かー。
朝の診察で、先生が両鼻の綿を抜いてくれた。
久しぶりの解放感、鼻って大切。
まだ血はにじむが、すごく楽になった。
飲み込める。
しかし、看護師さんはすごい。
夜勤の人は夕方来て、朝の9時頃ようやく帰る。
疲れているだろうに、患者のわがままをやさしく聞いてくれる。
天使のようだ。
〇土曜日
休み明けの月曜日に退院できそうだと、先生から告げられた。